日本航空宇宙学会北部支部の沿革
1.目的
日本航空宇宙学会北部支部は、旧 航空宇宙技術研究所角田支所(現 宇宙航空研究開発機構 角田宇宙センター)および東北大学 旧 高速力学研究所(現 流体科学研究所)などの有志が発起人となって、東北・北海道地区の会員相互の親睦と交流、域内の研究の活発化を目的に1987年4月に設立された。2017年3月開催の支部講演会をもって、創立30周年を迎える。
2.会員
東北・北海道地区に所在する、航空または宇宙に関する学識・技能または経験を有するもの(正会員)、航空宇宙工学もしくは航空宇宙に関連のある課程に在学中のもの(学生会員)、本会の事業を賛助する個人または団体(賛助会員)が所属している。2017年2月時点で、正会員160名、学生会員105名、賛助会員9団体で構成されている。
3.活動
・支部総会・支部講演会の主催
毎年、年度期末の3月に支部総会・支部講演会を開催している。2017年3月で30回目の開催となる。
支部講演会は当初、航空宇宙技術ならびにそれらの基盤技術を広くカバーする一般セッションのみで構成されていた。当初から、推進系や高速空気力学を専門とする関係者が多く、それらの分野の講演が多かった。一方、1980年代前半から旧航技研角田支所で推進されてきたラム/スクラムジェットの研究への関心の高まりや、米国でNASP(National AeroSpace Plane)計画が大々的に開始されたことも背景として、ラム/スクラムジェットシンポジウムが1991年2月に初めて、支部講演会に併設された。
支部設立10周年を過ぎた1998年1月には、これまでの実績を認められたこともあって、第38回航空原動機・宇宙推進講演会と、北部支部の第8回ラム/スクラムジェットシンポジウムが仙台で合同開催された。そのため、その年の支部講演会では、対象をラム/スクラムジェット推進系のみならず、より広げた「再使用ロケット/スペースプレーンシンポジウム」を併設して実施した。
翌1999年3月には、ラム/スクラムジェットシンポジウムが再び講演会に併設されたが、同時に、特別企画として、再使用型宇宙輸送システムのセッションも設けられ、再使用型ロケットエンジンの講演等も行われた。
これらの紆余曲折を経て、翌2000年3月には、ラム/スクラムジェットや再使用型ロケットエンジンを統合した名称として、再使用型宇宙推進系を冠した、「第1回再使用型宇宙推進系シンポジウム」が支部講演会に併設された。その後は現在に至るまで、再使用型宇宙推進系シンポジウムは支部講演会に併設される形での開催が継続されている。
以上のシンポジウムセッションに加えて、2009年3月からはオーガナイズドセッションも適宜企画されており、航空宇宙に関する最先端の研究動向に応じた発表および議論の場が設けられている。
・科学講演会の主催
毎年、8月末の夏休み最後の日曜日に科学講演会を開催している。2016年8月で23回目の開催となる。
科学講演会は、仙台在住の一般市民、特に小中学生に実技を通じて、航空宇宙に対する興味と科学技術に関する関心を持っていただくことを目的としている。例年、航空宇宙に関連する仕事に携わっている方をお招きしてご講演いただくとともに、ペットボトルロケットの講習・制作、さらには自作したペットボトルロケットの打ち上げ体験および実演を行っている。
・支援事業
北海道・東北地区に所在する学生による航空・宇宙関連活動を支援するための事業「Lifting-Off Young Birds: LOYB」を実施している。総額10万円程度の支援金を、応募内容を審査した上で配分している。2016年度で19回目の支援となる。
・協賛事業
毎年8月に秋田県能代市で開催される「能代宇宙イベント」、および毎年3月に北海道札幌市で開催される「HASTIC学術講演会」を協賛している。
・後援事業
毎年11月に北海道札幌市で開催される「北海道技術・ビジネス交流会 ビジネスEXPO」を後援している。
日本航空宇宙学会北部支部 歴代支部長一覧
期 | 年度 | 氏名 | 所属・役職 | |
西暦 | 和暦 | |||
1 | 1987 | 昭和62 | 鈴木 昭夫 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
2 | 1988 | 昭和63 | 鈴木 昭夫 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
3 | 1989 | 平成元 | 島 章 | 東北大学高速力学研究所 教授 |
4 | 1990 | 平成2 | 島 章 | 東北大学高速力学研究所 教授 |
5 | 1991 | 平成3 | 鈴木 昭夫 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
6 | 1992 | 平成4 | 永井 伸樹 | 東北大学工学部 教授 |
7 | 1993 | 平成5 | 宮島 博 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
8 | 1994 | 平成6 | 高山 和喜 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
9 | 1995 | 平成7 | 小林 陵二 | 東北大学工学部 教授 |
10 | 1996 | 平成8 | 八柳 信之 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
11 | 1997 | 平成9 | 上條 謙二郎 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
12 | 1998 | 平成10 | 関根 英樹 | 東北大学工学部 教授 |
13 | 1999 | 平成11 | 冠 昭夫 | 航空宇宙技術研究所角田支所 支所長 |
14 | 2000 | 平成12 | 新岡 嵩 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
15 | 2001 | 平成13 | 升谷 五郎 | 東北大学工学部 教授 |
16 | 2002 | 平成14 | 鎮西 信夫 | 独立行政法人 航空宇宙技術研究所角田宇宙推進技術研究所 所長 |
17 | 2003 | 平成15 | 伊藤 献一 | 北海道大学工学部 教授 |
18 | 2004 | 平成16 | 小濱 泰昭 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
19 | 2005 | 平成17 | 内山 勝 | 東北大学工学部 教授 |
20 | 2006 | 平成18 | 若松 義男 | 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構角田宇宙センター 所長 |
21 | 2007 | 平成19 | 豊田 国昭 | 北海道工業大学工学部 教授 |
22 | 2008 | 平成20 | 圓山 重直 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
23 | 2009 | 平成21 | 浅井 圭介 | 東北大学工学部 教授 |
24 | 2010 | 平成22 | 熊川 彰長 | 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構角田宇宙センター 所長 |
25 | 2011 | 平成23 | 東野 和幸 | 室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター 教授 |
26 | 2012 | 平成24 | 大平 勝秀 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
27 | 2013 | 平成25 | 吉田 和哉 | 東北大学工学部 教授 |
28 | 2014 | 平成26 | 野田 慶一郎 | 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構角田宇宙センター 所長 |
29 | 2015 | 平成27 | 藤田 修 | 北海道大学工学部 教授 |
30 | 2016 | 平成28 | 小林 秀昭 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
31 | 2017 | 平成29 | 岡部 朋永 | 東北大学工学部 教授 |
32 | 2018 | 平成30 | 吉田 誠 | 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構角田宇宙センター 所長 |
33 | 2019 | 令和元 | 内海 政春 | 室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター長 教授 |
34 | 2020 | 令和2 | 大林 茂 | 東北大学流体科学研究所 教授 |
35 | 2021 | 令和3 | 大西 直文 | 東北大学工学部 教授 |