概要

設立趣旨

航空宇宙産業は、安全性、信頼性、効率性を最優先とする高度に専門的な分野である。この分野では、航空機および関連機器の設計・製造・運用における厳格な基準と認証プロセスが求められる。また、国際的な標準化機運の高まりにより、基準や認証の統一化が一層重要となっている。

さらに、近年技術革新や持続可能性への要求が高まる中、従来の枠組みを超えた柔軟でグローバルな基準策定と認証の体系化が求められ、同時に、MRO(メンテナンス、リペア、オーバーホール)の効率化や品質管理の強化も、航空宇宙産業の競争力を維持するために不可欠となっている。

一方、我が国では航空宇宙機器に関する認証,技術基準は産官で議論されているものの、海外の認証手法や技術基準に追従しているのが現状であり、我が国が主体的に機体・機器類の認証や技術基準制定に関わっていくためには、産学官を超えて議論できる場が必要である。

航空宇宙学会は、産官学を越えた航空宇宙技術に関連する会員が集積する場所であり,本学会内に本部門を設置し、日本の認証、技術基準を世界に向けて発信していきたい。

目標と活動内容

本部門では、以下の目標を掲げ活動する。

  1. 航空宇宙基準・認証の推進と調和
    国内の認証,技術基準に関する議論を深めるとともに、国際標準化団体や規制機関との連携を深め、国内外の基準の整合性を図り、航空宇宙産業の発展に貢献する。
  2. 技術革新と基準適合の橋渡し
    次世代航空機や宇宙機器の技術に対応する新たな基準や認証プロセスの策定について産学官の交流を促進し、新しい基準の策定に貢献する。
  3. 安全性・信頼性の向上
    航空宇宙機器の設計、運用、保全における安全性と信頼性を確保するための研究・教育・技術普及活動を支援する。
  4. 持続可能性への貢献
    カーボンニュートラルや環境負荷低減を目指した基準と認証プロセスの整備を進める。
  5. 産業界及び既存協議会との連携強化
    製造業者、航空運送事業者、MRO事業者などの多様なステークホルダーと協力し、実務に直結した基準や認証プロセスの理解と新規事業者への情報共有を促進する。

本部門は、航空宇宙産業の発展を支える技術的・制度的基盤の整備を通じて、我が国の航空宇宙業界の成長と安全性向上に寄与することを目指す。